ロコモティブシンドロームは、加齢に伴う運動機能の低下や足腰の病気による歩行能力の低下を意味します。略して「ロコモ」とも言いますし、和名だと「運動器症候群」「ロコモティブ症候群」と言われています。年をとると、運動器すなわち骨や関節、椎間板、神経や筋肉も弱くなりますが、運動習慣がなかったり、生活の中で動くことが少なかったり、栄養摂取が多すぎたり少なすぎたりすると、ロコモは加速して進みます。そして、ロコモの予防や対策をしないでいると徐々に生活の中で動きにくくなってきて、要介護、寝たきりリスクが高まります。 ロコモを予防することは、健康に長生きするための重要な秘訣ということになります。
「ロコモ」は気づかない間にゆっくり進行します。骨や筋肉が多少弱っても気がつかないからです。運動機能が少しくらい低下しても、日常生活には困りません。そして、外出しにくいくらい弱くなると、運動をしようと思ってももうできません。そうなってしまう前にロコモーションチェックやロコモ度テストで、早めの察知し対策することが大変重要です。
ロコモに気づく方法に「ロコモーションチェック」という自己チェックがあります。7つの項目の一つでも該当があるとロコモのリスクがあります。私たちの調査では、これに該当項目がある人は、ない人に比べて転倒しやすく、バランス能力や歩行速度が遅く、片足立ち時間が短く、立ち座わりの動作も遅く、筋力も弱いことが分かっています。
それではチェックしてみてください。一つでも該当項目がありますか?
@ 片脚立ちで靴下がはけない |
A 階段を上るのに手すりが必要である |
B 青信号で横断歩道を渡りきれない |
C 15分くらい続けて歩けない |
D 家の中でつまずいたり滑ったりする |
E 2Kg 程度の買い物(1Lの牛乳パック2個程度)をして持ち帰るのが困難である |
F 家のやや重い仕事(掃除機がけや布団の上げ下ろし)が困難である |
※このチェックは生活の中での様子をきいています。『片脚立ちで靴下がはけない』のチェックのために無理に試さないでください。転ぶと危険です。
ロコモ度テストは、「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」の3つのテストから構成されています。下肢筋力やバランス、歩幅などを評価するテストと足腰の症状や体の動きを問う質問票です。
ここでは「立ち上がりテスト」をご紹介しましょう。
これは片脚または両脚で所定の高さから立ち上がれるかどうかで脚の筋力を評価します。40、30、20、10aの台で試しますが、もちろん低い台ほど難しくなります。このテストでは、片脚で40a から立ち上がれなかったら要注意です。
自宅の食卓の椅子が44aほどですから、一度やってみてください。練習すると結構できるようになりますが、少し油断するとまたできなくなります。
ロコモ度テストの詳しい解説はロコモチャレンジ!推進協議会のホームページをご覧ください。
ロコモの対策はまず運動習慣をつけることです。運動は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と筋力トレーニングの両方が重要です。また、運動は続けることが大切で、好きなスポーツを続けることもお勧めです。
簡単にできて効果的な運動が、スクワット、片脚立ち、かかと上げの三種のロコモーショントレーニング(ロコトレ)です。
次に大切なのは栄養です。バランスの良い食事が基本ですが、十分なたんぱく質とカルシウムをとりましょう。年齢が高いからといってタンパクやカロリーの摂取が少ないと、筋肉や骨が弱くなります。70歳を過ぎたら低栄養に注意が必要です。またビタミンDやビタミンKも骨や筋肉の強さに重要です。
そして、生活習慣。身体をよく動かす生活を心掛けてください。生活の中でできるだけ歩く。早足で歩く。ウォーキングは、ゆっくりのんびりでは効果がありません。普段の生活の中でも少し早足で歩くことが運動になります。それから、エスカレーターと階段が並んでいたら必ず階段を使う。色々な機会を見付けて社会参加をする。講演会などにも積極的に参加することが効果的だと思います。できるだけ仕事も続けるほうがいいと思います。