「年をとったなんて言ってられない!いきいき前向き長生き元気生活のすすめ」
【日時】平成25年11月12日(火) 午後1時~4時
【場所】板橋区立文化会館 大ホール
【講演内容】
(講演1)
「いきいき足腰元気生活のすすめ
~ロコモ予防で日々の生活を楽に送ろう!~」
高齢者運動器疾患研究所 代表理事
伊奈病院 整形外科部長 石橋英明先生
(講演2)
「今から実践しよう、健康長寿のABC
~栄養、体力、社会参加のすすめ~」
東京都健康長寿医療センター研究所
社会参加と地域保健研究チーム研究部長 新開省二先生
(講演3)
「前向きな心が生活習慣病を防ぐ~首尾一貫感覚(SOC)のすすめ」
東京都健康長寿医療センター内科総括部長 荒木厚先生
【講演会について】
11月12日のちょっと寒い火曜日に、板橋区立文化会館にて「第17回板橋いきいき講演会」を開催しました。
当日は480名の方々に参加していただき、午後1時から午後4時まで、しっかり3時間の講演会でしたが、あっという間の3時間でした。
今回のテーマは「年をとったなんて言ってられない!いきいき前向き長生き元気生活のすすめ」と銘打ち、石橋代表理事と、健康長寿医療センターの研究所の新開省二先生、同じくセンターの内科統括部長の荒木厚先生にお話をしていただきました。
新開先生は、健康長寿医療センターが実施している全国9地域においての、20年にわたる中高年者の長期追跡調査に関わっておられ、その調査結果からわかったことを中心にお話しされました。
まず、長生きに関係する要因です。
小金井市の高齢者1048名を8年間追跡した調査で、以下の人は8年後の生存率が低いことが分かりました。
① やせの人:BMI(体格指数=体重÷身長÷身長)が20以下の人は生存率が10%低い。
② 低栄養の人:血清アルブミン値(栄養状態の指標)が男3.8、女3.9以下の人は、高いい人に比べて、20%生存率が低い。あと、血中の総コレステロール値が低い人(高い人ではなく、低い人)、貧血の人は生存率が低いということでした。
また、握力が弱い人(男28kg以下、女16kg以下)、歩くのが遅い人(男女とも概ね毎秒1m以下)、片脚立ち時間が短い人(男18秒以下、女10秒以下)の8年後の生存率も低いことがわかっているとのことです。
つまり、栄養状態と運動機能、この2点を良い状態に保つことが長生きに重要なのです。
そして、この2点は健康長寿にも重要と言えます。
実際、ある自治体の例で、栄養指導をして血清アルブミン値が上がった群は、10年後の死亡率が半分に減ったとの結果もご紹介いただきました。とっても、有益な良いお話でした。
荒木厚先生には前向きな心の大切さを説く「首尾一貫感覚」について、お話ししていただきました。
まず、糖尿病と脳卒中の解説をしていただきました。
運動習慣、特に速歩の習慣があると、脳卒中が半分に減るという海外の8年間の調査結果や、野菜の摂取、禁煙、適度な睡眠(5時間以上9時間未満)が脳卒中を減らすというデータがあるとのこと。
次に、強いストレス
(愛する人との死別、病気や仕事のストレス、大地震のあと等)は、脳卒中を起こしやすくする要因ですとのお話でした。
一方で、世の中にはストレスに強い人がいます。
悪いことが起きても、心の持ち方が変わらない人です。
つまり、感覚が首尾一貫している人ということで、これが「首尾一貫感覚」です。この感覚がストレスの対処に大切なのです。
「首尾一貫感覚」には3つの要素があります。
①把握可能感(わかる感):どんな事も自分の行動と結果が関連しているという感覚
例えば「筋力が落ちたのは、年を取ったんだから仕方がない」ではなく、「自分が運動しないから筋力が落ちたんだ」と考える感覚、といったことです。
②処理可能感(できる感):何とかなる、何とかやっていけると思える感覚
これは、どんな状況下でも「やればできる」と、前向きに楽観的に考えることです。
③有意味感(やるぞ感):辛いことに対しても、自分のやっていることに意味を見出す力
ひどくつらいことがあっても、そのことが自分を強くする、神様が与えてくれた試練だとして、逆境に前向きに意味を持たせる考え方です。
このような、 「首尾一貫感覚」を持つ人は、病気になる確率も低く、脳卒中も起こしにくいというデータがあるとのことです。
お二人のお話は、とても興味深く、皆さんの役に立つ内容でした。アンケートもたいへん好評でした。
運動と栄養と前向きさ、これを大切にしてください。
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