わかる!くわしい!高齢者の整形外科疾患
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関節リウマチとは?

複数の関節に炎症が続き、やがては徐々に関節が破壊されていく病気です。

骨や関節、筋肉などが侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいます。
このうち、複数の関節に炎症が続き、やがては徐々に関節が破壊されていく病気が「関節リウマチ」です。
関節リウマチは免疫の異常によっておこると考えられています。
免疫というのはもともとは外から体に入ってきた細菌やウイルスをやっつける体の反応です。
ところが、リウマチの患者さんでは、この免疫の反応が自分の関節内の滑膜(関節の滑りをよくしている膜)を攻撃しているのです。
その結果、関節が腫れて痛みをおこします。手首や手足の指の関節にあらわれることが多く、左右両側の関節に対称性(つまり、左右同じような部位)に生じます。


どのくらい患者さんがいるの?

リウマチの発生頻度は、約0.4%といわれています。

40〜50才台で発症する女性が多いのですが、若年性のリウマチもあり、子供から老人まですべての年齢層で発病します。男性に比べて女性に多いといわれており、約1:4の割合です。


どんな検査で関節リウマチと診断されるの?

関節リウマチが疑われたら、さまざまな検査をして診断します。
診断基準には以下の7項目があります。
1 朝のこわばり      
2 3関節以上の関節炎
3 手の関節の関節炎
4 両側が同時に関節炎であること
5 皮下結節
6 手のX線所見の変化
7 リウマチ因子陽性

この7項目のうち4個以上が揃うとリウマチと診断し、治療を開始します。

免疫異常を見る血液検査には、リウマチ因子・抗核抗体・免疫複合体・補体価などがあげられますが、もしリウマチ因子陽性でも4項目が揃っていなければ、関節リウマチと診断することも、抗リウマチ薬を使用することはもありません。逆に血液検査でリウマチ因子陰性でも他の項目が揃っていれば関節リウマチとして治療が開始されることはあります。
また、リウマチの炎症の程度をみる検査には、CRP・血沈値があり、これらは治療効果の判定にも有用です。
他に、参考となる検査、および薬の副作用を調べるための検査としては、一般血液検査(赤血球・白血球・血小板)・尿検査・生化学検査(肝・腎機能)・レントゲン検査・CT・MRI・骨シンチなどがあります。

詳しい説明はこちら⇒関節リウマチの検査


関節リウマチの治療について

薬物治療は基本的に「関節リウマチ」の痛みのうち、炎症による痛みと増殖した滑膜による痛みに対して行われます。

現在、薬物治療の中心的な薬剤は大きく分けて3つあります。

● 抗リウマチ薬
炎症の原因である免疫異常に働きかけ、全身的なリウマチの活動を抑える目的のものです。
一般に効果があらわれるのが遅く、1〜3カ月ぐらいで効果の判定を行い、効果が見られない場合は他の薬剤に変更します。

副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)
ステロイドは副腎皮質ホルモンを人工的に合成した薬です。少量で炎症を強力に押さえるので、痛みによる日常生活の制限が強い場合に有効な薬剤です。
他の抗リウマチ薬との併用で、症状が改善されてくれば、徐々に量を減らしていくことになります。投与量の調整が難しいため必ず医師の指示に従いましょう。

非ステロイド性消炎鎮痛薬
関節リウマチは痛みが継続するため消炎鎮痛薬を長期間服用する場合が多くなります。このとき、注意しなければいけない副作用として胃腸障害、特に胃・十二指腸潰瘍(NSAID潰瘍)があります。
処方の際には予防的に必ず胃薬を併用します。
関節リウマチのコントロールは、この3種類の薬剤の組み合わせで行っていくことになります。
また、関節の機能障害がひどければ手術的治療も一つの良い方法です。

詳しい説明はこちら⇒関節リウマチでよく行われる手術


関節リウマチにかかると、将来どうなっていくの?

関節リウマチなっても決して悲観的になる必要はありません。
現在では基礎研究の進歩にともない、病因の解明も進み、新しい薬や手術療法も続々と開発されています。
日常生活や社会生活に支障を来すこともありますが、治療方法が発達した現在では(薬物療法・手術療法ともに)、小康状態を保ちながら発症以前とあまり変わらない日常生活を送っている方も増えています。

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