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変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、変形性関節症の中でもっとも多く、「年をとって膝が痛い」という場合のほとんどがこの病気です。女性に起こることが多く、ほとんどが内反型、すなわちO脚変形を伴い、内側の関節面の軟骨が擦り減るように進んでいきます。
どんな症状が出るの?
変形性関節症の典型的な症状は、長距離歩行時の痛みから始まり、正座ができなくなり、立ち上がり、しゃがみ込み、階段昇降がつらくなり、ついで歩行もしづらくなってくるといったものです。
一方で、安静時痛は少ないのが普通です。
進行してくるとO脚変形が強くなり、膝は慢性的に腫脹して大きく見え、曲げ伸ばしの角度が徐々に悪くなってきます。
どのように診断するの?
上記のような症状の有無とレントゲンで診断します。
レントゲンでは、関節のすき間(軟骨の厚みになります)が減っている又は消失している、余計な骨の出っ張り(骨棘といいます)が出ている、関節周囲の骨が白く硬い感じに見える、といった所見があります。
慢性的な膝の痛みを生じる他の病気は、まず関節リウマチ挙げられますが、血液検査やレントゲンの見え方で、比較的容易に区別できます。
どんな治療があるの?
治療は、内服薬、外用薬、注射、理学療法、手術などです。順番に説明しましょう。
内服薬は、消炎鎮痛剤が主になります。
常用すると胃潰瘍などが心配ですので、痛みが強いときだけ、あるいは、外出の予定がある時だけ服用するといった服用方法が良いと思います。
ただ、安静時も痛い、痛みで眠れない、といった場合は、1日2回、3回と時間通りに飲む場合もあります。
外用薬は、経皮吸収性の消炎鎮痛剤のはいった湿布、塗り薬を使います。冷湿布がいいか、温湿布がいいかはよく聞かれることですが、今の外用薬は消炎鎮痛成分の効果を期待しているので、大きな問題ではありません。
両方使ってみて決めるのも一法です。ただ、温湿布は皮膚への刺激が強いので湿布かぶれが多い傾向があります。
注射は、主にヒアルロン酸という関節液や軟骨の成分を含んだ注射剤を良く使います。潤滑剤としての働きや炎症を抑える効果もあります。また、ステロイド剤を使うこともあります。
炎症や痛みを抑えるのに高い効果がありますが、使いすぎると逆に軟骨や靱帯を弱くすることがあります。
理学療法では、温熱療法がよく行なわれます。
いわゆる「デンキをかける」という治療もこれにあたります。効果は一時的な場合から、すっかり良くなるところまで、膝の状態によってさまざまです。
1ヶ月から2ヶ月続けてみて一時的ではない効果があるようでしたら続けましょう。
太ももの筋肉、つまり大腿四頭筋を鍛えることは重要です。仰向けに寝て、片方の膝を立て、もう一方は伸ばして、伸ばしたほうの脚を踵が20センチくらい浮くように持ち上げます。
こうして5秒間維持することを20回から40回やります。こうすると膝に負担をかけずに、大腿四頭筋をきたえることができます。
変形性膝関節症の手術療法には、高位脛骨骨切り術、関節鏡手術、人工膝関節全置換術などがあります。病院では、痛みの程度や歩行能、年齢、レントゲン所見、患者の希望などを考慮して手術の適否の決定、手術法の選択をします。
人工関節手術は、長期成績も良好で、手術後のリハビリも早いので、年々手術件数が増えてきています。
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