人工股関節全置換術について
変形性股関節症や関節リウマチなどの病気によって、股関節の痛みが非常に強くなることがあります。
こうした痛みを和らげるため股関節を人工のものに置き換える手術が、人工股関節全置換術です。
この手術の対象となるのは、股関節の軟骨の磨耗や骨の変形が強く、内服薬、外用薬、理学療法などの保存療法をしても強い疼痛や歩行障害が残る方です。
ある程度進行した関節の変形や骨の破壊は、手術をしないと進んでしまう確率が高く、将来的に歩行が困難になることがあります。また、手術自体が難しくなることもあり、適切な時期に手術をする方が得策であるといえます。
また、長期にわたって鎮痛剤を用いることは、体にとってもよくありません。
手術により運動機能を回復すること、薬剤の使用量が減ることは身体に有利に働くと考えられます。
この手術では、まず、皮膚を10〜15p切開し、筋肉を分けて関節を開いて、大腿骨の骨頭を取り出します。続いて骨盤の関節部分の表面を約5ミリ程度削り取ります。
そして、金属およびポリエチレンでできた人工股関節に置き換えます。
人工股関節のイメージ |
手術時の皮膚切開 |
手術後のレントゲン |
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手術後には、2〜4週のリハビリテーションを行います。
手術の翌日にはベッド上での筋力訓練、1〜2日後には車椅子、3〜5日以降は平行棒内での立位、歩行訓練、7〜14日以降は歩行器または杖歩行を行います。
骨の強さや人工関節の安定性により、リハビリテーションの進み方は違ってきます。ポリエチレンがすり減ったり、徐々に人工関節と骨の間がゆるんでくることがあります。
一般的には9割以上の方は10年以上もつといわれていますが、まれに5年以内でもゆるんでくることがあります。人工関節がゆるんだ場合、再手術をすることがあります。
人工股関節手術は、とても効果の高い手術ですが、大きな手術です。変形性股関節症そのものは、命にかかわるような病気ではありませんので、人工股関節の手術を受けるかどうかは、担当の先生とよく相談して決めてください。