歩くときふらつく
年をとると一般に、若いときに比べてふらつきやすくなります。
多少のふらつきは、ある程度は自然な加齢現象といえますが、急にふらつきが多くなったと実感できるときは、何らかの原因があると考えるとよいでしょう。
自然な加齢以外で、ふらつきやすくなる原因には次のようなものがあります。
1) 脳や脊髄の病気で身体のバランスが悪くなる
脳梗塞の後遺症、パーキンソン症候群、小脳の病気といった脳の問題があると身体のバランスが悪くなりふらつきやすくなります。また、頚椎の変形で脊髄が圧迫されておこる頚椎症性脊髄症になると、歩行時のふらつきが多くなり、ふらつきやすくなります。
数ヶ月の間に、歩くときのふらつきが出てきて、一回でも転ぶようなら要注意です。
2) 下肢の筋力が弱くなる
下肢の筋力が衰えると、それだけでふらつきやすくなります。他の病気やケガなどで長く寝ていると筋力が弱るので、急に元のように歩こうとすると転ぶおそれがあります。十分、筋肉のトレーニングをしましょう。
3)背中や腰が曲がってくる
骨粗鬆症で脊椎の形がつぶれてきたり、背筋が弱くなってくると背中が曲がってきて、身体の重心が前に移ってふらつきやすくなります。
一般的に背中が曲がってきたり、身長が低くなってきた時は(目安は若いときの2センチ以上低くなった場合)、骨粗鬆症の検査をしましょう。骨が弱くなった状態で転ぶと、脊椎圧迫骨折や大腿骨圧迫骨折をおこしやすいので、特に注意が必要です。
4)股関節や膝関節が伸びなくなる
変形性股関節症や変形性膝関節症のために脚がまっすぐ伸びなくなると、前傾姿勢になったり、身体の重心が後ろに残ったりしてふらつきやすくなります。ただ、このような場合は、脚の付け根や膝の痛みが伴いますので、それも含めて整形外科を受診して相談してください。自分でも、ストレッチなどをして関節が曲がってこないように気をつけてください。
以上のように転びやすくなる原因はいろいろです。ふらついて、転びやすくなったなと実感して、前述の中の病気の可能性がありそうでしたら、整形外科や神経内科にかかってください。そして、どんな場合でも、脚の筋肉をきたえて、関節の動きをよくすることが転倒予防に大切です。
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