どんな治療があるの?
基本的には頚椎症性脊髄症の場合、脊柱管の狭窄があるために症状が起こるので手術的に脊髄の除圧を計ることが望ましいと考えられますが、手術には感染を起こすリスクや術後に頚部痛が起こる可能性があること、さらには手術が定型通り行われても肩があがらなくなるような合併症が生じる可能性があることより以下のような場合に限って手術を考慮する医療機関が多いと思われます。
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a)症状が進行性で歩行障害が見られるような症例
b)膀胱直腸障害が見られるような症例
c)保存療法が無効であるような症例
d)上肢ないし下肢の運動機能が急速に低下してきている症例
のいずれかを満たすような場合です。高齢者の場合、上記を満たしていても強い痴呆症状を合併しているような方には手術を行わないほうが安全です。それは強い痴呆症状がある場合に、手術後のリハビリが順調に行えない可能性があることや、創部を触ってしまったりして感染の可能性が高くなること、術後の安静を保つことができないことなどがその理由です。
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では手術をしない場合の保存療法はどのように行うのでしょうか。
頚椎の脊柱管容積を最大位に保つように頚椎を軽度前屈位になるようにした頚椎カラー固定を8から12週行うようにしています。頚椎牽引は牽引をする際に頚椎の軽度前屈位を守ってできればよいのですが、なかなかそれを守ることは困難です。また臥床時の枕が低すぎないようにしたり、うがいや歯磨きをする際に頚椎をなるべく伸展しないようにすることも大切です。薬物療法では消炎鎮痛剤、筋弛緩薬、ビタミンB12を処方しますが、神経症状が急速に悪化しているような場合には、副腎皮質ステロイドの投与を検討します。
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