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腰椎椎間板ヘルニアとは?
腰椎の椎間板が、膨らんだり外へ飛び出したりして神経を圧迫し、腰痛や脚の痛み、神経症状があらわれる病気が腰椎椎間板ヘルニアです。
図A 正常な椎間板
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椎間板の構造は、図Aのようになっています。
上下の椎体の間にあり、腰椎をしっかりと連結させる働きと柔軟に動くようにする働きを担っています。
中に水分が豊富な髄核があり、これを軟骨性の線維輪が覆っています。
ヘルニアという言葉は、一般的に本来の位置から逸脱することを表します。椎間板ヘルニアという病名は、椎間板が本来の位置から飛び出すことに加えて、飛び出したヘルニアが神経を圧迫している場合につきます。ただ椎間板がいたんでいる、膨らんでいるといった場合で腰痛がある場合は、腰椎椎間板症と呼びます。
図B 膨隆した椎間板(少し神経を圧迫している)
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図Bは椎間板が膨隆している状態です。
これだけでも神経を圧迫していて症状が出ていれば椎間板ヘルニアと呼びます。
図C 椎間板ヘルニア
(脱出した髄核が神経を強く圧迫している)
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図Cは、脱出ヘルニアと呼んでいる状態で、椎間板の中味、すなわち髄核が線維輪の裂け目から飛び出して、強く椎間板を圧迫している状態です。
どんな症状があるの?
椎間板そのものの痛みと神経圧迫の症状からなります。無理をしたり、ちょっとした身体のひねりや持ち上げ動作などで急に腰痛が生じ、少し遅れて脚の痛みがでてくることが多いようです。
椎間板そのものの痛みは腰痛として現れます。
強い痛みのある場合は、腰を少しでも動かすと痛むため、そろそろと腰が余計に動かないような身体の動きになります。 神経圧迫の症状は、椎間板で神経根が圧迫されるためにおこり、神経根が支配している領域のしびれ、痛み、知覚低下、筋力低下などがおきます。
たとえば、第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板ヘルニアの場合、第5神経根が圧迫され、その支配域の、ふくらはぎの外側から足の甲にかけてのしびれや痛みが出て、ひどくなると足首や足の指が上に反らなくなるという筋力低下の症状がでてきます。
整形外科医は、痛みやしびれの範囲、知覚低下や筋力低下のパターンなどから、どの椎間板のヘルニアによるものかまで、比較的容易に診断をつけることができます。
レントゲンでは、椎間板の厚みが少し減っているように見え、MRIでは、飛び出した椎間板を見ることができます。
どんな治療があるの?
通常安静だけでも治ることが多いようですが、痛みが強い場合、何週間も安静だけというわけにもいきませんので、安静に加えて、内服薬、神経ブロックなどで治療をします。
どうしても痛みが強い場合、知覚がほとんどなくなるような場所が出てきた場合、筋力がほとんどなくなって思うように足が動きにくくなったとき、膀胱障害か出たときなどは、手術をする必要があります。
手術は、後ろ側から骨を削って飛び出したヘルニアを取り出す、ヘルニア摘出術が一般的ですが、ヘルニアの種類や大きさ、部位によっては、内視鏡で摘出したり、レーザーで除去したりする方法もあります。
いずれにしても、手術の必要性や手術方法についてよく理解してから手術を受けることが重要です。
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