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コレス骨折とは?
手首の骨折の1つで、高齢者に多い骨折です。前腕の骨は、橈骨と尺骨という二本の骨があります。コレス骨折は橈骨の手首付近での骨折のうち、手首から先が手の甲側にずれるように折れる
骨折です。
専門的に橈骨遠位端骨折と呼ばれる骨折には、骨がずれる方向や粉砕のしかたによって、いくつかの骨折に分類されていますが、大部分がこのコレス骨折です。
何故起こるの?
転倒した際に手のひらをついて骨折します。
また高齢者(特に女性)の場合は骨粗鬆症が関係します。
どのくらいの人に起こるの?
60才代くらいの女性に多く、70歳以上になると、転んでも瞬間的に手をつくという
動作が取れなくなり、かえってコレス骨折が減る傾向があります。
どんな症状が出るの?
手首の痛み、腫れが特徴的ですが、骨折部のずれが少ないと最初は症状があまり強くなく、ただの打撲や捻挫のように感じることがあります。
高齢の女性が手をついて強い痛みが出た場合は、腫れが少なくても、整形外科でレントゲンを撮ることをおすすめします。手に力が入らない、手首から先がぐらぐらするといった症状が出ることもあります。また、稀ですが手のひらの感覚がおかしい、痺れるといった症状も出ることがあります。
骨折した骨が傷口から見えたり、指の色が変わって冷たくなるようであればすぐに治療を受けてください。数時間のうちに、傷も処置をしたり、血行を守るような治療が必要です。
どんな治療があるの?
骨の折れ方、年齢、普段の手の使い方などを総合的に考慮し、保存的治療(手術をしない治療)を行うか、手術的治療をするかの判断をします。どちらの場合も固定期間は6週間程度です。
保存的治療の場合は通常、ギプス固定もしくはシーネ(副木のこと)で固定します。全くズレがなくて安定度の高い場合は、シーネだけで固定することもありますが、多くの場合、ギプスを巻いて固定します。最近は石膏ギプスを使うことはほとんどなく、プラスチックギプスが使われるので、実際の重さはそれほどでもありません。骨折部が粉砕しているような場合は、肘上までギプスを巻きます。整復が難しい場合は、レントゲンで見ながら整復してギプスを巻くこともあります。
手術療法には、経皮的ピン固定、プレート固定、創外固定などがあります。
経皮的ピン固定は、レントゲンで見ながら骨折を整復し、キルシュナー鋼線と呼ばれる硬い針金で皮膚の上から骨まで刺して骨折部を固定します。ギプスだけでの固定より、安定性が高くなります。
プレート固定は、皮膚を切開し、骨折部を開いて、ズレを戻し金属の板(プレート)とネジで固定します。専用のいろいろなサイズのプレートとスクリューがあり、適切なサイズと形のものを使用します。
創外固定は、金属のスクリューや鋼線などを骨折部の両側の骨に刺入した上で、スクリュー(または鋼線)を特殊な器械を用いてそれらを体の外で固定することで、骨折部をとめる方法です。
以上の方法を適宜判断して用いることになります。
最近では、カルシウムぺーストと呼ばれる、人間の骨とよく似た組成のペースト状のカルシウムを骨折部に流し込み、それが固まり骨折部の安定性をよくする方法もあります
その後はどうなるの?
治療方法はいろいろですが、基本的な発想としては、骨折部の骨をいい形に整復して、その形を保ち、新しい骨ができて骨がくっつくのを待つということになります。
骨同士がくっつくことを骨癒合といいます。順調にいくと、3週ほどでレントゲンで薄い石灰化(仮骨)が骨折部やその周りにできてきます。
そうなるとほぼ安心です。その後、2ヶ月から3ヶ月かけて成熟した骨になってきて、骨癒合が完成します。 通常はこうして骨癒合が得られることが多いのですが、状況によっては、骨癒合に時間がかかったり(遷延治癒といいます)、骨がつかなかったり(偽関節といいます)することもあり、この場合は超音波を使った治療や再手術などの追加処置が必要になります。
また、骨折自体は治っても、手首や指を動かしていない期間が長いと手首や指の関節が自由に動かなくなること(関節拘縮といいます)がありますし、痺れなどの症状が残る場合もあります。
医師の指示をよく聞いて、指を動かす練習などをすることが重要ですが、骨折していない方と比べると手関節や指の関節の動きが不十分な状態になることが少なくありません。
稀に骨折部で腱が擦れて断裂することもあります。 |
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